研究会案内
東アジア恠異学会
第152回定例研究会/第26回オンライン研究会
日時:2025年5月18日(日)14:00〜
場所:対面・オンライン併用
(園田学園大学またはzoomにて)
※対面会場は園田学園大学近松研究所にて行います
(園田学園女子大学は2025年4月より園田学園大学に改称されました)
※参加ご希望の方は、こちらのフォームよりお申し込みください。(対面・オンラインに関わらずフォームから参加申込をお願いします) (申込みは5月16日(金)正午まで)
(https://forms.gle/1cAUe3znDnb29AzN8)
内容:
○「古木の怪異と仏制— 大行寺信暁『山海里』第2篇下巻「鬼神木をきらぬ事」をめぐって—」
ー膽吹覚氏(福井大学)
【要旨】
大行寺信暁(安永3年〔1774〕〜安政5年〔1858〕)は、江戸時代後期に京都で活躍した真宗佛光寺派の僧侶である。信暁は文政4年(1821)12月に同派長谷山北ノ院大行寺を創建し、その初代住職に就任し、且つ嘉永2年(1849)3月より本山佛光寺の学頭を務めた人である。その著書には彼の随筆集である『山海里』全12篇(文政8年年〔1825〕〜安政5年〔1858〕刊)をはじめ、『四十八願得聞抄』3巻(弘化2年〔1845〕刊)、『観経隠彰義』3巻(嘉永2年〔1849〕刊)、『阿弥陀経即生篇』3巻(弘化3年〔1846〕刊)、『正信偈一言抄』4巻(天保4年〔1833〕刊)、『〈五帖一部〉御文寸珍』全15冊(嘉永2年〔1849〕刊)などがある。
『山海里』は今日の文学のジャンルでは随筆に分類されるが、そこに収録された随筆の多くは真宗の教えを分かり易く説いた法語である。信暁はその法語を説く際に、しばしばそこに当時(江戸後期)の世間話を盛り込んだ。その世間話の内容は幽霊(第2篇「幽霊の事」)をはじめ、古木伐採による祟り(同篇「鬼神木をきらぬ事」)、狐憑き(第8篇「狐つきの事」)など、今日では怪異譚・奇談と呼ばれるものである。
翻って考えるに、現在の真宗僧侶—私もその一人であるが—が法話(説教)で、幽霊や狐憑きや古木の祟りを語ることは殆どないであろう。仮に法話でそれらを語ったとしても、それは教義を理解する上で否定されるべき具体例として—幽霊はいないし、狐憑きもない、古木の祟りなどありえない。—扱われているのではないだろうか。しかし、『山海里』を読む限り、信暁はそうではない。彼は怪異を認めたうえで、こうした怪異について仏典(真宗の聖典のみならず)を広く渉猟し、仏教的パラダイム—教義・論理の枠組み、例えば須弥山説などを用いて—の中で解釈し、そこから人々を勧化しようと努めている。
本稿ではその試論として『山海里』第2篇下巻収録「鬼神木をきらぬ事」(文政9年〔1826〕刊)を取り上げ、その本文に即して—たとえそれが現在の真宗僧侶の一般的な見識とかけ離れたものであったとしても—、怪異に対する信暁の解釈とそこからの勧化について考察してみたい。
*オンライン併用開催ではありますが、講演会ではなく研究会でありますので、
ご参加の方は、ご遠慮なくご意見ご発言ください。
*当会は学術団体ですが、参加資格・制限は特に設けておりません。
当会にご興味のある方は直接研究会においでいただくか、事務局にお問い合わせください。